【寄稿】ISOマネジメントシステムの統合について

(一社)食品品質プロフェッショナルズ理事  髙瀨 正昭

 ISOマネジメントシステムには品質マネジメントシステム(ISO 9001)をはじめ、環境(ISO 14001)、労働安全(ISO 45001)、情報セキュリティ(ISO 27001)等様々なシステムが存在し、事業者が事業運営上必要なシステムを選択し自社の経営の仕組みとして取り入れている。
 これらのマネジメントシステムは、初期の頃は企業経営の仕組みがマネジメントシステムと乖離していることが多かったこともあり、厳密に要求事項を遵守することが求められた。そのため、ISOの為に多量の書類の作成を要求されるなど、経営の効率化とは対極の仕組ととらえられるようになり、ISOは実務と一線を画すものとしての認識を芽生えさせた経緯があることは皆様ご存じのとおりである。
 このようにISOが現実離れをしているという批判は内外から噴出し、問題となったため、これまで数回にわたりマネジメントの本質に回帰すべく改訂が行われ、現在に至っている。
 現在、各分野で最もなじみが深いのはISO 9001、 ISO 14001、 ISO 27001、 ISO 45001(旧OHSAS 18001)等であると考えられるが、これらのマネジメントシステムには統合を視野に入れた、ハイレベルストラクチャーが導入されている。
 ハイレベルストラクチャーとはこれまでバラバラだった規格の章構造が統一され、すべてのマネジメントシステムに適用できる共通の構造、テキスト、用語の定義を定める仕様である。
 この共通という言葉がキーワードとなり、それぞれ個別に認証取得していたマネジメントシステムを一括して取得できるベースが構築されてきている。

 それではこの一括認証が本当にメリットがあるのかどうか検討してみよう。

メリット:
・システム統合により、審査費用のコストダウンが見込まれる
・審査の期間が、バラバラで認証を取るより短期間で済む
・マニュアルが1つで賄える(マネジメントシステムの簡素化)
・リスク管理が効果的に実施可能となる
・マネジメントへのインタビューが1回で済む

デメリット:
・1回の審査日数がかなり長くなる
・事務局の対応が煩雑になる(審査機関との調整、内部監査の実施、他)
・適用範囲がそれぞれのマネジメントシステムで違う場合の対処が煩雑
・第三者審査員がすべてのマネジメントシステムに通じていない場合、
 費用、時間のコストメリットがなくなる

 以上見てきたように、マネジメントシステム自体は統合に向けて整備されているが、審査側、受審側の環境はまだきちんと整備されていないと言わざるを得ない状況のようである。
 特にISO事務局は全てのマネジメントに精通した要員を確保しないと、内部監査や本審査での対応がおろそかになる恐れがあり、またそれらのスケジュール調整に相当の時間がとられることも覚悟しておく必要がある。
 マネジメントシステムは事業継続を効果的に行うための、共通の基準を定めたプラットフォームであることを忘れてはならない。
この原点に立ち返り、本当に統合審査にメリットがあるのかどうかを吟味し、それから実践していくことが何より重要ではないかと考える次第である。

2019年2月3日 更新